「このまま60歳まで同じ生活を続けるんだろうか」
そう思ったのは、帰宅が22時を過ぎた夜のことでした。朝6時に家を出て、夜遅くに帰ってくる。スーパーのマネージャーとして働く私の毎日は、体力的にも精神的にもギリギリのところで成り立っています。
FIREという言葉は知っていました。でも、「完全FIRE? 資産6000万? 私には無理だ」と最初から諦めていました。
そんなとき出会ったのがサイドFIREという考え方です。完全に仕事をやめなくていい。少しだけ働いて、あとは投資収益で生活する。フルタイムから抜け出すだけでも、人生はかなり変わる――そう気づいてから、私の目標がはっきりしました。
この記事では、資産2300万円・40代独身・スーパー勤務という私のリアルな状況をもとに、サイドFIREとは何か、いくら必要か、今何をしているか、そして現実的な壁まで正直にまとめました。
「FIREは憧れだけど現実的じゃない」「少しだけ楽になりたい」そう感じている40代の方に、特に読んでほしい内容です。
サイドFIREとは何か
完全FIREとの違い
FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期退職)」の略です。その中でもサイドFIREは、完全に仕事をやめるのではなく、投資収益+少しの労働収入で生活するスタイルを指します。
| 完全FIRE | サイドFIRE | |
|---|---|---|
| 必要資産の目安 | 6000万円〜 | 3000万円程度 |
| 仕事 | 完全にやめる | 週3〜4日・好きな仕事だけ |
| 収入源 | 投資収益のみ | 投資収益+労働収入 |
| ハードルの高さ | 非常に高い | 現実的な範囲 |
完全FIREは資産6000万円以上が一般的な目安です。年4%の運用益(4%ルール)で生活費をすべてまかなうには、月20万円の生活費なら6000万円が必要になります。
一方、サイドFIREは月数万円〜10万円程度のパートや好きな仕事を続けながら、不足分を投資収益で補う形です。必要な資産は3000万円程度が現実的な目安とされています。
「週3〜4日、好きな仕事だけする」というイメージ
サイドFIREのイメージは「フルタイムをやめること」です。週5日・8時間以上の拘束から解放されて、週3〜4日、自分がコントロールできる仕事だけをする。残りの日は、親の介護に使ったり、趣味に使ったり、ただ休んだり。
「完璧な自由」ではなくても、選択肢がある自由を手に入れることがサイドFIREの本質だと思っています。
サイドFIREを達成したあとの生活について、具体的なイメージはサイドFIREしたら何をする?理想の1週間にまとめています。
40代独身にサイドFIREが向いている理由
40代独身がサイドFIREに向いている理由はいくつかあります。
- 扶養家族がいないため、生活費を自分でコントロールしやすい
- 実家暮らしの場合、支出をかなり抑えられる
- 子育て費用がかからず、投資に回せるお金が多い
- 「週3〜4日働く」という柔軟なスタイルが取りやすい
子育て中の共働き家庭と比べると、独身の40代は投資に集中できる環境が整いやすいです。もちろん親の介護という課題はありますが、それも含めて「時間の使い方を自分で決められる状態」を作ることが、サイドFIREの目的です。
わたしがサイドFIREを目指すようになった理由
朝6時出発、帰宅22時超えの生活
スーパーのマネージャーという仕事は、聞こえはいいですが実態はかなりハードです。早番・遅番のシフト管理、部下のフォロー、本部からの数字のプレッシャー。休みも不規則で、土日はむしろ忙しい。
朝6時に家を出て、帰宅が22時を超える日が週に何日もあります。帰ったらご飯を食べてお風呂に入るだけで、気づいたら0時を過ぎている。そんな日々が何年も続いていました。
「このまま何年続けるんだろう」という疑問
ある夜、電車の中で「あと何年これを続けるんだろう」とふと思いました。40代になって体力の衰えを感じ始めていたとき、定年まであと20年近くあることに気づいて、どっと疲れた気がしました。
「働くこと自体は嫌いじゃない。でも、この働き方はもう限界かもしれない」
そのときから、今の働き方を変えることを本気で考えるようになりました。フルタイムの働き方がしんどいと感じている40代の方には、フルタイムがしんどい40代へという記事も参考にしてみてください。
親の高齢化・介護の不安
もうひとつの大きな問題が、親の介護です。実家暮らしの私には、両親の高齢化が直接的な問題として迫ってきます。今はまだ元気ですが、5年後・10年後はわかりません。
介護が始まったとき、今の働き方のまま続けることができるだろうか。答えは「かなり難しい」です。介護と仕事を両立しながらフルタイムで働き続けることは、精神的にも体力的にも限界を超えるかもしれません。
だからこそ、仕事の量を自分でコントロールできる状態を作っておくことが、私にとって切実な目標になっています。
貯金だけでは自由になれないと気づいた
若い頃は「節約して貯金すれば老後は安心」と思っていました。でも、ただ貯金するだけでは自由にはなれない、ということに気づいたのは30代半ばのことです。
銀行に預けていてもほぼ増えない。定年まで働いたとしても、老後の生活費を賄うには足りない。時間とお金を同時に増やすには、投資しかないと判断しました。
実家暮らし10年間でどう資産を築いてきたかは、実家暮らし10年で資産2300万という記事に詳しくまとめています。
サイドFIREに必要な資産はいくら?(試算あり)
一般的な目安:生活費×25倍(4%ルール)
サイドFIREに必要な資産を考えるとき、基準になるのが「4%ルール」です。これは「資産の4%を毎年取り崩しても、資産が30年以上持つ」という考え方で、FIRE計画の基礎として広く使われています。
計算式はシンプルです。
必要資産 = 年間生活費 ÷ 4%(=生活費×25倍)
ただし、サイドFIREの場合は投資収益だけで生活費をすべてまかなう必要はありません。週数日の労働収入(月5〜10万円)を加えることで、必要な資産は大幅に減ります。
| 月の生活費 | 完全FIRE(25倍) | サイドFIRE(10万円収入あり) |
|---|---|---|
| 15万円 | 4500万円 | 1500万円分を補填→約1500万円 |
| 20万円 | 6000万円 | 約3000万円 |
| 25万円 | 7500万円 | 約4500万円 |
著者の試算:資産2600万→62歳で4600万円へ
私自身の数字で試算してみます。
- 現在の資産:約2300万円(NISA評価額2058万円+現金)
- 毎月の積立:8万円(NISA+特定口座)
- 想定利回り:年率7%(オルカン長期平均の目安)
- 積立継続期間:現在〜62歳まで(約15〜20年)
この条件で試算すると、62歳時点で資産4600万円前後に到達する可能性があります。詳細なシミュレーションは資産2600万で試算したら62歳に4600万?にまとめています。
「3000万円が現実的な目標」という結論
私が出した結論は、サイドFIREの現実的な目標は3000万円です。
3000万円あれば、年率4%で年間120万円(月10万円)の運用益が見込めます。実家暮らしを続ければ月の生活費は8〜10万円に抑えられるため、週2〜3日の軽い仕事と合わせれば十分に生活できます。
もちろん、介護費用や医療費などの不測の出費への備えも必要です。「3000万円でギリギリ」ではなく、「3000万円を通過点として、余裕を持って積み上げていく」というイメージで進めています。
今わたしがやっていること(具体的な行動)
実家暮らしで支出を抑える(月の生活費約8万円)
私の月の生活費は、食費・光熱費の一部・日用品・交際費など合わせて約8万円です。実家暮らしのため家賃がかからず、これが投資に集中できる最大の理由です。
「実家暮らしは恥ずかしい」と思っていた時期もありましたが、今は完全に割り切っています。家賃10万円を払いながら積立するよりも、その10万円を投資に回す方が、圧倒的に早くサイドFIREに近づけます。
NISAで毎月8万円積立(オルカン一本)
投資の方針はシンプルです。
- 積立NISA(新NISA)でeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)を毎月8万円
- 個別株・テーマ型ファンド・仮想通貨は一切やらない
- 一本集中でブレない
最初は「分散しなくていいの?」と不安でしたが、オルカンは世界中の株式に自動で分散投資できるため、これ一本で十分だと判断しました。余計なことを考えなくていい分、本業に集中できています。
暴落しても売らない
2022〜2023年の調整局面でも、資産が大きく減ったときも、一度も売りませんでした。長期投資の基本は「買い続けること、売らないこと」。これを守るだけです。
暴落は怖いですが、「安く買えるチャンス」と考えるようにしています。評価額が下がるのは一時的な話で、長期的には回復してきた歴史がある。そう信じて積み立てを続けています。
副業はしない(本業+投資に集中)
副業はしていません。理由は単純で、今の仕事量でそんな余力がないからです。
副業に時間とエネルギーを使うより、本業で安定した収入を確保しながら投資に集中する方が、私には向いていると判断しています。副業なしでサイドFIREを目指す考え方は副業なしでサイドFIREを目指す方法にまとめています。
サイドFIREの現実的な壁(正直に書く)
3000万円はまだ遠い
今の資産は約2300万円。目標の3000万円まで、まだ700万円以上あります。今のペースで積み立てれば数年で到達できる計算ですが、「計算通りにいくかどうか」は市場次第です。
相場が大きく崩れれば、評価額も大きく下がります。3000万円という数字は通過点ではあっても、到達したからといって即座にサイドFIREできるわけではない、という現実もあります。
サイドFIREの壁についてより詳しくは、【正直】サイドFIREは難しい|3000万未満の壁に書いています。
介護が来たら計画が変わるかもしれない
最大のリスクは親の介護です。介護が本格化すれば、今の積立額を維持できなくなる可能性があります。介護休業を取れば収入が減り、介護費用がかかれば支出が増える。最悪のケースでは積立を一時停止せざるを得ないかもしれません。
それでも、「だから投資しない」という結論にはなりません。むしろ介護があっても乗り越えられる資産を、今のうちに作っておくことが大切だと考えています。
「自由になっても何をするか」問題
正直に言うと、「サイドFIREして何をしたいか」がまだぼんやりしています。仕事が減って時間ができたとき、本当にその時間を有意義に使えるか、少し不安もあります。
でも、これは「自由を手に入れてから考えればいい問題」だとも思っています。今は選択肢を増やすことに集中する時期です。
それでも続ける理由:「選択肢が増えるから」
壁はたくさんあります。でも、私がサイドFIREを目指し続ける理由はただひとつ。「選択肢が増えるから」です。
今は「働かないと生活できない」という状態です。資産が積み上がれば、「働かなくてもいいけど、働いてもいい」という状態になれる。この違いは、想像以上に大きいと思っています。
嫌な仕事を断れる。無理なシフトを断れる。介護に時間を使える。旅行に行ける。それだけで、今とは全然違う人生になります。
サイドFIREを目指す人へ(行動提案)
最後に、これからサイドFIREを目指したいと思った方への具体的な行動提案をまとめます。
まず支出を把握する
投資を始める前に、まず自分の支出を把握することが大切です。月に何万円かかっているか、削れるものはどこかを知ることで、投資に回せるお金が明確になります。
家計簿アプリでも手書きでも何でもいいので、1ヶ月だけ試してみてください。支出を「見える化」するだけで、お金の使い方が変わります。
NISA口座を開く
支出を把握したら、次はNISA口座を開くことです。2024年から新NISAが始まり、年間360万円まで非課税で投資できるようになりました。
- 証券会社は楽天証券かSBI証券がおすすめ(スマホで開設できる)
- 最初は月1万円からでもいい
- 商品はeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)一本でOK
「いくら積み立てればいいかわからない」と悩むより、まず始めることが最優先です。始めることへのハードルが一番高いのは、最初の一歩を踏み出す前です。
「完璧じゃなくていい、続けることが大事」
サイドFIREの計画は、完璧じゃなくていいです。積立額を変えても、商品を変えても、一時停止しても構いません。大事なのは「続けること」です。
私も最初は月3万円の積立から始めました。それが今は8万円になっています。少しずつ増やしながら、続けてきた結果が今の2300万円です。
「いつか自由になりたい」という気持ちがあるなら、今日から動き始めてください。10年後の自分が、きっと感謝してくれるはずです。
まとめ
- サイドFIREは「完全にやめるFIRE」ではなく「フルタイムを卒業するFIRE」
- 必要な資産は完全FIREより少なく、3000万円が現実的な目安
- 4%ルールを使って、自分の生活費×25倍を目標にする
- 実家暮らし・支出削減・NISA積立の組み合わせが最短ルート
- 壁はある。でも「選択肢を増やすため」に続けることに意味がある
- まず支出把握→NISA口座開設→月1万円から始める
サイドFIREは特別な才能や高収入が必要なものではありません。地道に積み立て、支出を抑え、市場から離れない――その積み重ねが、やがて「少しだけ自由な毎日」へとつながります。
あなたのサイドFIREへの第一歩を、応援しています。