「年利何パーセントで計算すればいいの?」
インデックス投資を始めると、必ずこの問いに直面します。
5%? 6%? 7%?
楽観的な数字を使えば夢が広がりますが、現実とかけ離れてしまう可能性もあります。
今回は、オルカン(全世界株式)とS&P500の実績をもとに、
5・6・7%の3パターンで資産がどう変わるかをシミュレーションしました。
そして、長期投資と取り崩し期を合わせて考えたとき、
なぜ6%が最も妥当な仮定なのかをお伝えします。
まず、実績データを確認しましょう
根拠のない数字で計画を立てても意味がありません。
まず歴史的な実績から見てみましょう。
S&P500(過去30年の平均リターン)
- 名目リターン:約10〜11%
- インフレ調整後:約7〜8%
- 円換算(円安を含む):8〜12%(時期により大きく変動)
オルカン(全世界株式・過去15年)
- 名目リターン:約7〜9%
- 米国比率が約60%を占めるため、S&P500に近い動きをします
数字だけ見ると「7〜10%で計算すればいい」と思いたくなります。
でも、ここには大切な落とし穴があります。
3パターンで見る、2300万円の資産シミュレーション(運用のみ)
まず、追加投資・取り崩しなしの純粋な運用シミュレーションです。
〔15年後の資産〕
| 年利 | 15年後の残高 |
|---|---|
| 5% | 約4,784万円 |
| 6% | 約5,507万円 |
| 7% | 約6,337万円 |
〔20年後の資産〕
| 年利 | 20年後の残高 |
|---|---|
| 5% | 約6,104万円 |
| 6% | 約7,382万円 |
| 7% | 約8,897万円 |
月8万円(年96万円)取り崩した場合のシミュレーション
ここが重要です。サイドFIREや老後で毎月8万円(年間96万円)を取り崩しながら運用した場合、資産はどう推移するでしょうか。初期資産2,300万円からスタートします。
〔取り崩しあり・15年後の資産〕
| 年利 | 15年後の残高 |
|---|---|
| 5% | 約2,710万円 |
| 6% | 約3,278万円 |
| 7% | 約3,933万円 |
〔取り崩しあり・20年後の資産〕
| 年利 | 20年後の残高 |
|---|---|
| 5% | 約2,928万円 |
| 6% | 約3,845万円 |
| 7% | 約4,965万円 |
ポイント:月8万円を取り崩し続けても、6%運用であれば20年後も元本の2,300万円を大きく上回る残高を維持できます。5%でも約2,928万円残るため、取り崩しが破綻することはありません。一方で7%と5%の差は20年後に約2,000万円にもなります。
なぜ6%が妥当なのか
① 高すぎず、低すぎない現実的な中間値
5%は少し保守的すぎて、本来の資産形成力を低く見積もる可能性があります。7%は過去の好調な時期に引きずられた楽観論です。6%は、インフレを差し引いた実質リターンとして、長期的に達成しやすい水準です。
② 長期投資(15〜20年)で平均回帰する
年ごとのリターンは、プラス30%の年もあればマイナス40%の年もあります。でも、15〜20年の長期保有によって、年率6〜7%に収束する可能性が高いというのが、過去データの示すところです。
③ 月8万円の取り崩しでも資産が持続する
6%運用であれば月8万円を取り崩しながらでも資産は20年後に増えています。6%で計算しておけば、実際に7%取れたときはプラスになり、5%でも計画通りに近い生活ができます。「少し保守的に見積もって、少し上振れる」これが精神的にも安定した計画の立て方です。
オルカンとS&P500、どちらを使うか
S&P500派の主張
- 過去の実績が圧倒的に強い
- 米国企業の成長力に投資できる
- 7%以上を狙える可能性がある
オルカン派の主張
- 米国一極集中のリスクを分散できる
- 「世界経済全体の成長」に乗れる
- 米国が停滞しても他の市場でカバーできる
どちらが正解かは、誰にもわかりません。ただ一つ言えるのは、6%という前提はどちらの商品でも長期的に十分達成可能な水準だということです。
まとめ
- S&P500・オルカンとも、長期の実績から見て5〜8%のリターンは現実的な範囲です
- 月8万円(年96万円)の取り崩しをしながらでも、6%運用なら20年後に資産は増えています
- 15〜20年の長期保有で、年率の上下ブレは平均値に近づいていきます
- 楽観的な7%で計画すると、下振れ時に生活が苦しくなるリスクがあります
- 保守的な5%は達成しやすいですが、資産形成の可能性を過小評価してしまいます
- 人生100年時代、取り崩しを含めた長期計画には「6%」が最もバランスの取れた前提です